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BESインタビュー  by山田文大



 スワンキー・スワイプのベスの1stソロアルバム『REBUILD(リビルド)』がリリースされた。このアルバムについて最初にベスにインタビューを させて貰ったときには、まだアルバムのタイトルも決まっていなかったし、アルバムタイトルと同名のMC漢をフィーチャーした楽曲のレコーディングも終 わっていなかった。だが、このインタビューの最後に、彼はポツリと言っていた

「これ出たら落ち着いて、色々建て直していこうかなと

 と。

生活を建て直す(=REBUILD)ための武器として、彼がこのアルバム制作に取り組んでいたということが、この時のインタビューテープを聞き直 し、また完成した、この素晴らしいアルバムに改めて耳を傾けると実によくわかる。このアルバムにベスが吹き込んだものは切実といっても良いものだろう し、ヒップホップの重要なメンタリティーそのものだ。


「自分の、こう、正直なとこが言えたかなっていうか、葛藤っていうか、考えてることっていうか自分の葛藤ぶりが。今あるのとは全然違うと思うんですけど、ちょっと、あまり内容的に(巷に溢れるヒップホップとは)違うじゃないですか? まぁこんなのがいてもいいかな? みたいな。自分がこう思ってるっていうことは変わらないし、ひとつの流れにまとまってっていう風にしないでやれたらいいなって。自分もそうだし、自分のまわりもそうだし、いろんな人が いるから。全部が同じような人たちばっかりじゃないんで」

 スキル、特に超絶とも言えるフローこそベスの持ち味なのだろうが、今回のアルバムが素晴らしいのは、むしろ、そのフローを前提にしながら、スキルに逃げなかった点だと思う。例えばアルバムの一曲目、「The Process」にある、次のようなリリック。

「瘋癲なら余計に覚悟が正義」

「いつからか空の逆を眺め歩いた/気づけば背中、曲線描いた」

 突出したギャングスタ・ラッパー、ハスラー・ラッパーが、みずからのキャラクターでスキルを超越するような存在感を示すことがあるように、ベスは自分の葛藤に対し腹を括ることで、明らかにスキル以上のものを本作で表現している。その世界観は必ずしもポジティブなものではないが、こういったリリックこそ「ハードコア」なのではないか? なぜか暴力社会をサバイブする「ヒットマン」を連想してしまった。そして「全部が同じような人たちばっかりじゃない んで」というベスの言葉(意志)こそ、ラッパーの唯一無二の存在理由とすら思える。

 リリックのことばかりを書いてしまったが、「歌っていて気持ちいいというところから始めた」というだけに、グルーヴィーなビート(今回のほとんどのトラックを手掛けたのはマリックにベスは絶大な信頼を寄せている)を乗りこなすスキルは、もはや天性、やはり圧巻だ。

「ラップのフローとかそういうのだったら、まぁ負ける気はしないというか、そういうのはあるんすけど。まぁ他のことでいったら大変っすよね(苦笑)」

 他のことで(負ける気はしない)いうのは大変。現実を知るほどにそれを思い知り、だからこそマイクを持つ(=「Get On The Mic」)。そう考えると、ベスほどラッパーらしいラッパーもあまりいない。『REBUILD』を聴けばその意味をわかって貰えると思う。

 ベス・イン・ザ・リ・ビルディン!



BESインタビューby 山田文大

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2008-09-22 19:57:10投稿者 : しだ